::: プロデューサー日記 :::
山下 治城
山下 治城
Haruki Yamashita
チーフ・プロデューサー

■出身地
鳥取県 倉吉市

■趣味
舞台を見る。映画(ドキュメンタリーからアニメーションまで)。読書。

■座右の銘
大局観とディテイル

■尊敬する人
宮崎駿

■好きな食べ物
カレー・ラーメン・寿司・蕎麦

■プレイスポット
劇場&映画館

■チャームポイント
ものを見る、まなざし。

■一番大切なものは?
自分に正直であること。

■休日何してる?
舞台鑑賞・映画鑑賞・料理

■好きなCMは?その理由は?
サントリーローヤル「ランボー」篇 学生時代に見た、このCMがきっかけで、僕はこの業界に入った。

■どんなPrになりたい?
矜持をもった人間として生きていきたい。

【代表作品】
◎エステー化学:消臭力
◎三井住友海上火災:企業
◎総務省:参議院選挙
◎レダ:プチシルマ シリーズ




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2008/06/13 - 07:58

「山のあなたー徳市の恋」2008年日本(@テアトル新宿) 趣味の周辺。



清水宏の「按摩と女」(1938年)を初めて見たのは昨年のことだった。
奇妙な印象に残る映画だった。
石井克人監督はその「按摩と女」をそっくりそのままカラーに置き換える実験を行った。
そこから見えてくるものと
見えてこなかったものによって「按摩と女」という映画の中に隠れていたものが
あぶりだされ、リメイクされた「山のあなたー徳市の恋」との違いを発見し
面白く思えた。

細かく分析するというようりも、映画としての両者の読後感について
考えた。
まずは圧倒的に撮影の技術が向上しているので
その情報量の豊富さには目をみはる。
雨の河原にかかる沈下橋に蛇の目傘を持って佇む
マイコの姿は本当に美しい。
ああ、こういったシーンをきちんと見られることの幸せといったらない。
ただし、見えすぎることによる弊害もある。
それはここから後ろはマットペインティングだろうか、
このシーンはグリーンバックで合成されているのではないかと
勘繰ってしまう自分がいる。

また、俳優が違うというところが最も大きな差を出している。
まったく同じように作ろうとしても
その時のオリジナルになってしまうということである。
草薙剛の演技と身体がいい。
加瀬亮の顔がいい。
マイコは最初、本当に彼女で良かったのかと気になってはいたが、
見ているうちに彼女の美しさも含め好感を持つ。
そして三浦友和がいい。
彼は当代きってのバイプレイヤーになった。
そして、この映画で最も素晴らしかったところは、
清水宏の持っている、この映画の「飄逸さ」というようなものを
しみじみとした心情を下敷きにしながら描いたことにである。
そのとぼけたような味わいの中からメクラである徳市(=草薙剛)と
東京から来た女、三沢(=マイコ)の結ばれない恋が描かれる。

そういえば、これってフェリーニの「道」にも似ているなあと思った。
美しく不幸な女とそれを守ろうとして守れない心優しい男の物語である。

この構造には人間の心を揺さぶる普遍的なものがある。

清水宏35歳のときの作品を石井克人が40歳を過ぎて甦らせた、
と思ったら実は石井監督のオリジナルになっていた。
という、
石井監督のおとぼけが静かに表出している佳作である。


投稿者 山下 治城 | この記事のURL | コメント()